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vol.31

酒は風土を醸すもの
「田沢湖湖畔の杜ビール」

田沢湖湖畔の杜ビール特集

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 1994年、地ビール醸造が解禁となり「地ビールブーム」が訪れた。解禁3年後の1997年には地ビールメーカーは200社を超えるまでに拡大し、大手ビールメーカーとは異なる造り方の個性的なクラフトビールが広く楽しまれるようになった。しかし、ブームはいつか終息するもの。世間の評価が厳しい時期もあったが、解禁から20年たった今では「多くのクラフトビール愛好家」をうならせる小規模ブルワリーも登場している。
 今回紹介する「湖畔の杜ビール」は、そのブームが終わった頃に「本当に日本人が美味しいと思うクラフトビールとは何か」を考え発足したメーカーだ。秋田県の田沢湖という大自然に恵まれたロケーションだからこそ生まれた、その土地ならではのクラフトビール。常務取締役であり、醸造責任者を務める関口久美子さんにお話を伺った。

「湖のほとりのレストラン」

「湖畔の杜ビール」を運営している株式会社トーストは、地野菜を扱う「湖畔の杜レストランORAE」の運営も行う。レストランの全席から田沢湖を見渡すことができ、湖畔にそびえ立つ推定樹齢290年のナラの木はORAEのシンボルツリー。四季を通してさまざまな表情を見せてくれる。店内にはナラの木温もりを感じてもらえるよう、オーダーメイドの椅子とテーブルを用意。テーブルでも靴を脱いでくつろげるよう、休足板もある。

「湖畔の杜ビール」

 醸造に携わり今年で18年になる日本人初の女性醸造士の関口さんは、1999年から田沢湖という地でクラフトビール造りを始めた。「ビール造りを始めたきっかけは、人間が生活していくうえでの“根本”を考え始めたことでした。その根本を私は農業と捉え、その農業を通じて皆さんのお役に立ちたいと思っていたんです。前職では、発酵食品の研究所で微生物を扱う仕事をしていたこと、元々、醸しに対する興味もあったことも手伝って自然と麦を醸すという方向性が出てきたのだと思います。お酒はいつも、人の悲喜こもごもとともにあるもの。弊社の商品を通して、皆様のそのような大切な時間をともに過ごすことができれば幸せだと思いました」。

「田沢湖からの恵み」

 ビール造りを始めた「田沢湖」はビール造りに適しているという。
「田沢湖は水道をひねると駒ヶ岳の伏流水だと言われる程、水が美味しい土地柄です。また湖畔を渡る風は1年を通して爽やかで、暑すぎないと言うことが微生物の営みをバックアップしているように思います。また田沢湖の湖面に映り込み、更に光を強めた月光が発酵室へ入り込むさまをみていると、このような環境も発酵に影響を与えていると感じます」。 
 実際に、ワインの醸造を行う際、月の満ち欠けに合わせて発酵や収穫を行っているところも多くあるのだという。

「辿り着いたのは“活かす”ことでした」

「酒は風土を醸すもの」と言うのが湖畔の杜ビールのこだわりであり、基盤であるという関口さん。
「麦芽とホップを使用したビールを造るのは勿論ですが、開業の時から地元でとれる米を使ってビールを仕込みたいと考えていました。今では弊社の看板商品となった『あきたこまちラガー』は開業から造り続けて17年を迎えます。お米を専用に糖化させる釜をドイツに特注して、製造ラインもそれに合わせて作っています。また、『湖畔の杜レストランORAE』では、風土の食材をふんだんに使った料理をご提供しており、相性抜群です。これから向かう先としては、今まで作り上げた味を変わることなく守ること、そしてこの地で実った農作物を使い、新たな商品を作ることだと思っております」。
 2014年秋には横手市大沢地区で収穫されたスチューベンを使用した「横手大沢葡萄ラガー」で「全国酒類コンクール第1位特賞」を受賞するなど、新たなことに熱意を持って取り組んでいる関口さん。今後も、この地でしかできないビール造りを続けていく。

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