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vol.26

山楽里
いぶりがっこ

いぶりがっこ特集

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発酵文化が盛んな秋田を代表する漬物といえば、いぶりがっこ。「いぶり」は“燻製にする”ことで、「がっこ」は秋田弁で “漬物”のことを指す。もともと漬物のことを表す「雅香(がこう)」が変化して「がっこ」となったという説もある。パリパリした食感は普通のたくあん漬けに似ているが、独特のスモーキーな香りはいぶりがっこ特有のもの。本格的な冬の到来を目前に控えた11月半ば、いぶりがっこ発祥の地といわれる、秋田県横手市山内地区を訪ねた。

横手市中心部から南東へ、果樹畑を横目に進むと、そこは山内地区(旧山内村)だ。ここでは昔から保存食として、いぶりがっこが作られてきた。このあたりは、東北有数の豪雪地帯として知られており、大根を収穫してから十分に天日干しする間もなく、辺り一面雪に覆われてしまう。そんな環境下で干し大根を作るために、囲炉裏の上の梁に大根を吊るしていたという。そのうち、自然と燻された大根が生まれ、それを漬けることで「いぶりがっこ」という郷土料理が生まれたのである。今回は、大根を燻すための小屋、通称「いぶし小屋」を2カ所見せていただいた。

大根専用ラック

作業スピード向上のために考案された、大根専用ラック

最初に訪れた小屋は住宅の敷地内にあり、その外観はいぶし小屋というよりまるでガレージで、シャッターを開けたら乗用車が顏を出しそうな、いわゆる一般的な車庫のようだ。 しかし、近づいてみると木を燃やしている匂いが漂ってくる。シャッターを開けると、中は真っ白に煙って何も見えない。 次第に煙が落ち着いて、中の様子が明らかになった。そこは予想以上に広く、一度に2,000本もの大根をラックに吊るし、燻すことができるという。 小屋の横には大根を育てたのと同じ清冽な沢水を引き、収穫した大根を機械を使って洗浄する。切り落とされた葉っぱは畑に戻し、次に大根を育てる際の肥料にする。 土から育まれた生物の循環の輪が、ここではきちんと一周している。

沢水

次のいぶし小屋もまた、住宅の敷地内にあった。ここではひもで吊るした大根を一度に1,000本、楢の木で燻す。かつては山桜の木も使われていたが、現在は数が減ってしまい、使用するだけの量を確保できなくなった。

どちらの燻し小屋の温度も約40度に保たれ、細い大根だと3日ほどで燻しの工程は完了する。 水分が抜け、燻製の香りが染み込むと、漬け込みの準備はOKだ。米ぬかをベースにした漬け床に2、3か月以上漬け込み、3月半ばから4月に完成。1本600〜700gだった大根が、燻して漬け込むと300gほど。 約半分の重量に減る。それだけ、おいしさが凝縮されているわけだ。

大根の山

これから燻される大根の山、その量は圧巻だ

今回取材にご協力いただいた農事組合法人「山楽里(さらり)」では、主にそばの受託作業・販売を行っていたが、3年前からいぶりがっこの生産にも取り組んでいる。 山内産の大根を使用し、保存料・着色料は無添加であることが一番のこだわりだ。柔らかすぎず固すぎない、ちょうどいい食感のいぶりがっこはご飯のお供にはもちろん、お酒のつまみにもぴったり。

いぶし終わった大根

いぶし終わった大根。真ん中にはひもの跡が残っている

平塚さん 山楽里のいぶりがっこへのこだわりは、大根の種から始まる。 漬物に適した大根を選び育て、楢と桜の木でいぶし、漬け込む。漬け床は食品添加物不使用の山楽里オリジナルレシピだ。 どこの製品でもほとんど作り方は同じなのだが、それぞれ個性が出るのがいぶりがっこの特徴。その理由は、大根の品種や干し方、漬け床で味が微妙に変わるためだという。
「その中でも、自分の作っているいぶりがっこが一番好きです」と言って笑う、山楽里代表の佐藤さん。

「いぶりがっこ作りは大根の種まきから漬け上がるまで、全ての工程で気の抜けない、手間のかかる作業です。 それだけに、お客さまから『燻しの香りが良い』とか『パリパリした食感が良い』と言ってもらえると嬉しいですよ。 地域が高齢化していく中で、いぶりがっこ作りを通じて雇用の場を作り、若者をここ山内に定着させたい。昔からの文化を若い人に伝えていくことで、里づくりを続けていきたいです」。
山内地区でも高齢化により、いぶりがっこの生産者が減少している。しかしここで伝統を途絶えさせるわけにはいかない。山内伝統のいぶりがっこの味を継承し、守りたい。 そんな思いで作られる「山楽里」のいぶりがっこを、ぜひ一度味わってみてはいかがだろう。

いぶりがっこについて詳しくはこちら
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