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vol.24

赤倉栗園
西明寺栗

西明寺栗特集

取材時にいただいた焼き栗。栗そのものの甘みが引き出されていて、優しい味わい。

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日本一大きいと言われる「善兵衛栗(西明寺栗)」。鶏卵ほどの大きさと重さがあり、通常の栗の概念を覆すほどの大きさだ。秋田県仙北市西木で栽培される品種だが、今回は、なかでもこだわりの栽培方法で栗を生産する「赤倉栗園」を訪れた。そこには、自らの信念を貫き、独自の手法で代々続いてきた「栗栽培」の方法を革新するひとりの男性が待っていた。

栗の木の剪定

栗の木はできるだけ多くの葉に陽が当たるよう、高さを揃えて横に広がるよう剪定

今年の秋田は冬の訪れが早いのかもしれない。まだ10月だというのに、紅葉は終盤を迎えていた。
落葉が始まった仙北市の風景を脇目に、西明寺の栗園「赤倉栗園」を目指す。
日本一大きい栗・善兵衛栗(西明寺栗)の起こりは、300年以上前のこと。
秋田藩主佐竹公が日本の栗栽培先進地・丹波・美濃地方から種子を取り寄せ、
西明寺地区に栽培を奨励したのが始まりだ。他の地域とは異なり、この地域では非常に大きな栗が育った。
年貢の米代わりとして、栗を納めていたと伝えられている。
昭和35年、栗を枯死させる害虫が大発生した。
これに対応するべく、枯れずに残った栗を母樹として秋田県が品種改良に乗り出した。
その結果、昭和38年に西明寺栗1号から5号が誕生した。
なかでも、西明寺栗1号は善兵衛栗と呼ばれ、現在も広く栽培されている。
この善兵衛とは赤倉家の屋号。赤倉栗園が、善兵衛栗を生み出した場所なのである。

栗園の目の前にある自宅を訪れると、代表の赤倉一善さんが出迎えてくれた。
自宅の窓には仙北の景色が広がり、秋田内陸縦貫鉄道の線路が見える。
赤倉さんが栗園の代表になったのは、7年前の夏。以前の赤倉さんは信州の企業に所属し、
スキーの国際ライセンスを取得したり、プロゴルファーを目指す生活を送っていた。
「でもね、ある時交通事故で左目を負傷してしまって、選手生命を絶たれた。
挫折して、絶望したんだよね」と当時を振り返る。
「片目でもできることを」と考え、写真を撮るのが好きだったことから写真家に転身することを決意。
修行を重ね、写真家デビューを果たす。数年後に長野オリンピックが開催され、
冬の長野を写した作品が脚光を浴びた。
「でも当時から、なんとなく栗園の写真を撮ったりして、やっぱり気になっていたんだよね。ここで育ったんだもの」と笑う。平成19年、両親の体調不良をきっかけに、故郷・西明寺に戻り、栗園を継ぐことを決意した。

栗の実

葉が大きければ光合成の効率がよく、実も大きく甘くなる

今年の秋田は冬の訪れが早いのかもしれない。まだ10月だというのに、紅葉は終盤を迎えていた。
落葉が始まった仙北市の風景を脇目に、西明寺の栗園「赤倉栗園」を目指す。
日本一大きい栗・善兵衛栗(西明寺栗)の起こりは、300年以上前のこと。
秋田藩主佐竹公が日本の栗栽培先進地・丹波・美濃地方から種子を取り寄せ、西明寺地区に栽培を奨励したのが始まりだ。他の地域とは異なり、この地域では非常に大きな栗が育った。
年貢の米代わりとして、栗を納めていたと伝えられている。
昭和35年、栗を枯死させる害虫が大発生した。これに対応するべく、枯れずに残った栗を母樹として秋田県が品種改良に乗り出した。その結果、昭和38年に西明寺栗1号から5号が誕生した。
なかでも、西明寺栗1号は善兵衛栗と呼ばれ、現在も広く栽培されている。
この善兵衛とは赤倉家の屋号。赤倉栗園が、善兵衛栗を生み出した場所なのである。

赤倉さん 木と木の間隔があいていて、広々と明るい栗園を案内する赤倉さん 栗園といえば、背の高い栗の木が並び、密集した栗の葉に遮られて薄暗いイメージがある。軽自動車のバンに乗り込んで案内された赤倉さんの栗園は、そのイメージを覆す光景が広がっていた。
「栗栽培っていっても、普通の栗園はあまり手を入れないんですよね。栗って勝手になるものだという概念があるから。この栗園は、とても明るいでしょう? 栗に十分な栄養を送るためには、効率的に光合成を進めたい。そのために剪定を行い、できるだけ陽が入るようにしています。背が上に伸びるのではなく、枝が広がるイメージなので、木の高さもみんな同じくらいにしています。剪定を行うのは、栗の木が冬眠している1月から3月にかけて。新しい枝に栗が実るのは1年後です。栗は摘果を行わないので、枝ぶりで収穫量をコントロールして大きな栗ができるんですよ」。
枝がのびのびと広がり、一枚一枚の葉も大きい。
それも活発に光合成を行い、十分な栄養を得ようとするからだ。風通しを良くし、こまめに下草を刈ることで虫除けになる。
「地面を掘り起こすくらい刈って、草も去年のイガも養分にします。害虫発生を防げるし、見た目も草ぼうぼうよりキレイなほうがいいでしょ?(笑)この栗園がカタクリ群生地でもあるのは、こうして雑草を刈っているからです」。
栗を食い荒らす害虫は7月末に羽化するが、そのタイミングを狙って退治するのは困難だ。
そこで徹底的に草刈りを行い、草ごと地中のさなぎを退治する。
「草を刈っていると、鳥がついて来る。掘り起こされた虫を食べに寄ってくるんです」。
殺虫剤を使わずに害虫を駆除し、肥料には土壌微生物『内城菌』を使う。赤倉さんがさまざまな農家や専門家を尋ね歩き、そして自らの経験をもって作り出した栽培方法に、農薬や化学肥料や燻蒸薬剤は使われていない。

栗の実

春の栗園は一面のカタクリに覆われる。カタクリの種にはアリが好む物質がついていて、アリに運ばれた場所でまた
花が咲く。そんなアリを、自然の流れを大切にしなくてはと赤倉さんは語る。

昔は収穫した栗を「臭化メチル」で殺虫処理していたが、1987年にオゾン層破壊物質であるとして使用不認可になり、現在は一般的に「ヨウ化メチル」が代用されている。しかし赤倉さんはその方法ではなく、独自で温湯処理法を開発した。
「無農薬で育てたのに、最後に薬剤で燻蒸するなんて…と思ってしまって。他県で温湯処理をする栗園もありましたが、小規模の栗園だったり、善兵衛栗(西明寺栗)とはサイズが違いすぎて参考にならない。こうなったら自前の技術で殺虫処理しようと決めたんです。
その方法により、殺菌と殺虫、糖度向上を同時に実現。さらに低温貯蔵することで、糖度が1カ月で4倍も上昇する。栗の実は冬になると、春の発芽エネルギーとなる大量の糖分を生み出す性質を持っている。低温貯蔵で栗に冬だと勘違いさせ、甘みを大幅アップさせるのだ。
「栗にとって、良い環境とは?」と尋ねると「人間と同じく、ほどほどの気候が好きですよ」と笑う赤倉さん。ただ、お盆過ぎに熱帯夜が続くと、成熟具合に影響が出るという。その時期に露が下りるほど昼夜の寒暖差があると、徐々に甘みが出てくる。
赤倉栗園では完熟した実の自然落下を待って収穫する。よく、実の中心に紫がかった小さな空洞が見られるが、赤倉栗園の「善兵衛栗」を割ってみると空洞がない。きっちりと実が詰まっているから、加工時に割れにくく腐りにくいという特徴を持っている。

温湯処理法に使う機械
赤倉さん

▲ これが温湯処理法に使う機械。お湯の温度と所要時間は企業秘密だ

赤倉さんは積極的に栗を使った加工品の開発そして販売している。その代表格が『マロンバタークリーム』でコンセプトは「大人のワインのつまみにも、子どものおやつにもなるもの」。
『料理通信』『dancyu』『天然生活』などに掲載され、NHKの全国放送でも紹介されたこともあって首都圏の百貨店などでも好評の逸品である。
「『大きい栗は大味』と言われるのが悔しくて、安全・甘さ・大きさと三拍子そろった栗になるよう丹精込めて育てています。考え方や安全性、何よりおいしさを理解してもらえたらお客さんに選んでもらえる。人とのネットワークを大切にして、無農薬で売っていくことができれば一番ですね」。
自らが栽培する栗を通して、地域の農業、地球の将来までも見据えた赤倉さんの眼差し。そこには、楽しみながら新たなものを生み出していきたいという強い思いがあった。

こちらも注目!地元の和菓子店とコラボした新商品

地元の和菓子店とコラボした新商品
くら吉

みちのくの小京都・角館に店舗を構える菓子店。厳選素材に工夫をこらした、職人による手作りの菓子が愛されている。一番人気の「生あんもろこし」は第31回秋田県特産品開発コンクールで奨励賞を受賞した。

秋田 #角館 くら吉 西明寺栗の生あんもろこし 6個入 648円(税別)

北海道十勝産の小豆を使用した自家製のこし餡に、栗の香りがアクセントの生タイプのもろこし。
しっとり、ほろほろな口溶けに栗の風味が上品で、お茶のおともにぴったり。

地元の和菓子店とコラボした新商品

赤倉栗園

秋田内陸線八津駅から徒歩2分
〒014-0516 秋田県仙北市西木町小山田字八津194
TEL:0187-47-2231

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